
革製品に使われる動物の種類と特徴とは?革の魅力を深めるために知っておきたい基礎知識
私たちが日常で手にする財布やバッグ、ベルト、靴などの革製品。その素材となっている「革」は、主に動物の皮から作られています。革という素材は単なる装飾や機能性のための材料ではなく、動物からの恵みを活かし、長く愛用できる特別な素材でもあります。けれども、その革がどのような動物から採られ、どのような違いや特徴があるのかを知っている方は意外と少ないかもしれません。
この記事では、「革製品 動物」というテーマに基づき、革製品に使用される代表的な動物の種類とそれぞれの革の特性、加工や用途の違い、さらに近年注目されている動物福祉やエシカルレザーについても触れながら、革という素材の背景を深掘りしていきます。
牛革(カウレザー・ステアハイド)|革製品の定番素材
革製品に最も多く使用されているのが牛革です。牛革は丈夫で加工しやすく、厚みや硬さのバリエーションが豊富なため、財布や鞄、靴、ベルト、ジャケットなど、非常に多くのアイテムに利用されています。
中でも「ステアハイド」と呼ばれる、生後2年以上の去勢された雄牛の皮から作られる革は、厚みと耐久性がありながらも柔軟性も備えているため、幅広い用途で使用されます。また、「カウハイド」は雌牛の革を指し、やや繊細で柔らかい質感が特徴です。さらに若い牛の革は「キップレザー」や「カーフレザー」と呼ばれ、きめ細かく滑らかな肌触りが魅力です。
牛革はその耐久性とバランスの取れた性質から、初心者にも扱いやすい素材であり、多くの革製品ブランドがメイン素材として採用しています。
馬革(コードバン・ホースハイド)|美しい光沢と希少性が魅力
馬革は、牛革に比べて繊維が緻密で、しなやかで軽いという特徴があります。特に高級革として知られる「コードバン」は、馬の臀部から採れるごく限られた部位のみを使用した非常に希少な革です。
コードバンはガラスのような艶と滑らかな表面を持ち、主に高級財布や名刺入れ、ベルトなどに使用されます。その美しさと耐久性から“革のダイヤモンド”と称されることもあります。一方で、ホースハイド(馬革全体)は牛革よりも軽量で、ライダースジャケットやブーツなどのアパレルアイテムにもよく使われます。
馬革は経年変化(エイジング)も美しく、使い込むほどに色艶が増していくため、革製品愛好者の間では非常に人気のある素材です。
羊革(ラムスキン)|柔らかさと軽さが魅力の高級素材
羊革は、滑らかで非常に柔らかい質感が特徴です。中でもラムスキン(子羊の革)は特にきめが細かく、しっとりとした手触りで高級感が漂います。そのため、高級なレディースバッグや手袋、アパレル製品などに多く使われています。
しかしながら、羊革は傷が付きやすく、摩耗にもやや弱いため、丁寧に取り扱う必要があります。その分、見た目や手触りの上質さは他の革に勝るものがあり、装飾性を重視するアイテムに最適です。
山羊革(ゴートスキン)|耐久性と軽さのバランスが取れた万能素材
山羊革は、牛革よりも軽くて丈夫、さらに表面に特徴的なシボ(凹凸模様)があるため、独特の表情を楽しめる革として人気があります。適度な硬さと柔軟性を兼ね備えており、日常使いの鞄や財布、靴などに向いています。
また、水にも比較的強いという特性を持っているため、カジュアル用途のバッグや、アウトドア系の製品にも採用されています。コストパフォーマンスも良いため、気軽に本革製品を楽しみたいという方におすすめの素材です。
豚革(ピッグスキン)|日本国内でも生産される軽量な実用革
豚革は、日本国内でも比較的多く生産されている革のひとつで、軽くて通気性が良いという特徴があります。表面には独特の毛穴模様があり、他の革と容易に見分けることができます。
価格も手頃でありながら耐久性があり、裏地や内装材としてもよく使われます。財布の内側や靴の中敷きなど、見えない部分に使われることが多いですが、最近では加工技術の進歩により表革としても使用される例が増えてきました。
革製品と動物福祉|エシカルレザーという選択肢
近年では、動物福祉や環境保護の観点から、「エシカルレザー」や「サステナブルレザー」といった選択肢も注目されています。これは、食肉産業の副産物として出る皮を有効利用したもので、無駄をなくし、資源を大切にする考え方に基づいています。
また、一部では人工的に作られた「ヴィーガンレザー」や「植物由来のレザー」など、動物の命を使わない素材も登場しており、選ぶ側の価値観によって革製品のあり方も多様化してきました。
伝統的な革製品の魅力を知ると同時に、動物と人との関係性を考えることも、これからの時代においては重要な視点となるでしょう。
まとめ
革製品に使われる動物には、牛、馬、羊、山羊、豚などさまざまな種類があり、それぞれに特徴や適した用途があります。素材の特性を理解することで、自分の用途や好みに合った革製品を選ぶ手助けとなり、より深い愛着を持って使い続けることができるようになります。
また、革製品の背景にある動物の存在や、倫理的な選択肢としてのエシカルレザーについても意識を向けることで、ただのファッションアイテムとしてではなく、命の恵みを活かした価値ある素材として革を捉えることができるようになります。
革製品を選ぶ際は、見た目やブランドだけでなく、素材がどの動物から来ているのか、その革がどういった特性を持ち、どのような工程を経て製品になっているのかという視点を持ってみてください。そうすることで、日々使う革製品がより意味のあるものへと変わっていくことでしょう。