革製品が生まれるまで:革づくりの流れとメーカー選びのポイント
革製品の「品質」はどこで決まるのか
革製品を選ぶ際、「どんな革を使っているか」や「どの工房で作っているか」という視点はよく聞かれます。
しかし実際には、革製品が完成するまでには多くの専門家と工程が関わっており、それぞれが異なる役割を担っています。
革を“皮”から“革”にするタンナー(鞣し工場)、
その革を仕入れて販売する皮革問屋、
革を製品として形にするメーカー(OEM/ODM)、
そして縫製を担う工房や職人──。
この流れを理解することで、革製品の品質をより正確に見極められるようになります。
本記事では、革づくりの構造をわかりやすく解説しながら、 OEM/ODMを行うメーカーとしての視点から「理想のパートナー選び」についてお伝えします。
1. タンナー:皮を“革”に変える職人たち
まず、革製品の起点となるのがタンナー(Tanner)です。
タンナーは、動物の皮を化学的・機械的な工程で「革(レザー)」へと変える鞣(なめ)しの専門工場です。
革の質感・色合い・耐久性は、この鞣し工程でほぼ決まります。
植物由来の成分を用いたタンニン鞣しは、自然な風合いと経年変化が魅力。
一方、クロム鞣しは柔らかく発色がよく、軽量で扱いやすい特徴があります。
国内では栃木レザーや姫路レザーが有名で、海外でもイタリア・スペインなどに高い技術を持つタンナーが存在します。
こうしたタンナーが作る革を扱うのが、次に紹介する「皮革問屋」です。
2. 皮革問屋:世界中の革を見極め、選び抜く存在

皮革問屋は、タンナーから仕入れた革をメーカーへ供給する「橋渡し役」です。
世界各地の革を取り扱い、メーカーの要望に合わせて種類・厚み・仕上げなどを提案します。
OEMやODMを行うメーカーにとって、信頼できる問屋との関係構築は非常に重要です。
なぜなら、最終製品の品質は革の選定に大きく左右されるからです。
また、近年は「オリジナルの革」を作りたいという企業ニーズも増えています。
当社(長谷川製作所)でも、問屋を通してタンナーに直接要望を伝え、特注の革を製造してもらうことも可能です(※ミニマムロットあり)。
このように、問屋とタンナー、そしてメーカーが一体となることで、 「他にはない風合い」を実現できるのです。
3. メーカー:製品の設計と品質管理の要
OEMやODMを手がけるメーカーは、革製品を実際に形にする過程を統括します。
デザイン設計・裁断・縫製依頼・検品・納品まで、 ブランドや企業の要望を反映させながら、製品の完成までを一貫管理します。
メーカーの中でも特に重要なのが「裁断工程」です。
革は天然素材のため、一枚ごとに厚み・伸び・シボ(しわ模様)が異なります。
職人が目利きで最適な部位を選び、製品ごとに裁断位置を調整することで、仕上がりの均一性と美しさが大きく変わります。
長谷川製作所では、この裁断工程を自社で行い、製品の「顔」となる部分の品質を厳しく管理しています。
また、製造工程によっては縫製を専門の工房や職人に依頼し、素材と技術の両面から最適な製造体制を構築しています。
4. 工房・職人:仕上げを担う「最後の手」

革製品づくりの最終工程を担うのが、縫製工場や工房、個人職人です。
彼らはメーカーから支給された革・型紙・仕様書をもとに、製品を一つひとつ縫い上げます。
熟練の職人による手縫いや、精密なミシン縫製など、工房ごとに得意とする技術やデザインがあります。
特に小ロットや試作品では、工房や個人職人の技術力が製品の完成度を左右します。
メーカーが「どの工房と協力しているか」は、品質を見極める上で大きな判断材料です。
表面の美しさだけでなく、縫い目の均一さ・コバ(革の断面)の仕上げなど、細部にまで丁寧な仕事が行き届いている工房ほど信頼できます。
5. 革選びから始まる「ものづくりの自由度」
OEM/ODMメーカーを通じて革製品を作る魅力のひとつは、
革そのものからオリジナルを設計できる点にあります。
通常、企業が直接タンナーと取引するのは難しいですが、メーカーを介すことで、問屋やタンナーと連携しながら、「色味」「風合い」「硬さ」「表面仕上げ」などをカスタマイズすることが可能です。
例えば、ブランドカラーに合わせた染色、企業ロゴに合う質感、展示会や周年記念向けに特別な革を用いた製品など。
素材段階から企画できることで、既製品との差別化を実現できます。
もちろん、特注革の製作にはミニマムロット(最低製造数量)がありますが、条件を満たせば、世界に一つだけの革をオーダーすることもできます。
これが、単なる製品製造ではなく“ブランドづくり”につながるのです。
6. 高品質な革製品を作るためのメーカー選びのポイント
革製品づくりを依頼する際、メーカー選びの基準として次の3点を意識すると良いでしょう。
① 素材提案力があるか
革の種類・鞣し・加工方法を理解し、用途に合った革を提案できるメーカーは信頼性が高いです。
② 裁断・検品を自社で行っているか
素材の特性を理解した上で裁断・検品を自社で管理できるメーカーは、品質のばらつきを防げます。
③ 工房ネットワークが整っているか
縫製技術の異なる工房や職人とのネットワークがあることで、製品ごとに最適な体制を構築できます。
長谷川製作所のOEM・ODM

長谷川製作所では、これら3つの要素をすべて自社体制に取り入れています。
“革を選ぶところから”ものづくりを支援できるのが、当社OEM/ODMの強みです。長年の実績をもとに最適なご提案をさせていただきます。
- 財布、バッグ、ベルト、ステーショナリーなどのオリジナル革小物
- 展示会やイベントでの配布物
- 営業訪問時の手土産やご挨拶品
- 社内向け記念品や感謝の贈り物
など、「品質の良さで差がつく」レザーアイテムを、ぜひ御社のブランド価値向上にご活用ください。
■ 少ロットから対応可能です
弊社では大ロットの生産だけでなく、イベント用などの少数ロットにも対応しています。まずはお気軽にご相談ください。
詳細は、ご注文の流れのページでもご覧いただけます。
ぜひ一度お問い合わせください!
まとめ:構造を知ることが、品質を見極める第一歩
革製品の品質は、見た目だけでは判断できません。
その背景には、タンナー・問屋・メーカー・職人という4つの専門分野が関わり、
それぞれが独自の技術と責任を持って製品を支えています。
- タンナー:革の性質を決める“素材づくりの専門家”
- 問屋:世界中から革を見極め、最適な素材を提案する“流通のプロ”
- メーカー:設計・裁断・品質管理を担う“製品づくりの司令塔”
- 工房・職人:手仕事で仕上げる“最後の仕上げ人”
この流れを理解すれば、依頼先を選ぶ際にも「どこが何を担っているか」が明確になります。
そして、メーカーを通してタンナーに要望を伝えることで、 “自分たちだけの革”をつくるという新しい選択肢も広がります。
高品質な革製品は、優れた素材と技術、そして人の手の積み重ねから生まれます。
信頼できるパートナーとともに、あなたのブランドにふさわしい一品を形にしてみてください。